命を担保?団体信用生命保険とは?

2006年の大手消費者金融の業務停止に伴い、消費者金融に対するあらゆる報道が連日なされました。その中で団体信用生命保険(以下、団信)は、債務者を自殺に追い込んだ原因、命を担保にした非道なやり方、などとセンセーショナルに取り上げられました。私は同業に勤めた経験がありますが、業界にいた人間から見ると論点がズレているなと思います。団信のコンセプトは遺族に迷惑をかけないための顧客サービスの一環でした。保険会社から支払われる保険金よりも消費者金融会社が支払う保険料の方がずっと多く、赤字を承知で行っていました。意外と知られていませんが、相続時には資産だけではなく負債も受け継がなければなりません。もし死亡者の自宅を相続すれば、借金などの負債も同時に背負うことになります。団信に加入してもらうことにより、相続をする人の負担を減らそうとしていたのです。住宅ローンを組む場合にも団信に加入させられることがほとんどですので、「命を担保に」は消費者金融の専売特許ではないのです。しかし住宅ローンの団信は、保険料が契約者負担であることも多く、自分が団信に加入していることを知っている契約者が大半だと思われます。住宅ローンを苦に自殺をしてしまった方の中には、言葉は悪いですがある意味「確信犯的に」住宅ローンを無くすために命を絶った方もいらっしゃったのではないでしょうか。一方消費者金融の団信は、保険料の自己負担分は無く、加入してもらうことに対する説明も充分ではなかったので(これは問題だったと思います)、契約書の裏側をよく読まなければ自分に保険が掛けられていることを知ることはできませんでした。おそらくほとんどの契約者が知らなかったと思われます。つまり、借金を苦に自殺をされた方の中に団信からの支払いを当てにしていた方はごく少数だと思われます。団信が自殺を煽ったということは考えにくく、「命を担保に」と感情的にバッシングをするのではなく、説明が不十分なまま保険をかけた点を追求するべきだったと思います。
改正貸金業法にて、自殺の場合にも保険金が支払われる保険への加入が禁止され、団信を利用しているキャッシングローンは現在ほとんど無いようです。元々消費者金融にとっては割りの合わない保険だったので、今回の騒動で一番損をしたのは大口の保険料が入らなくなった保険会社だったのかもしれません。



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